きぃろドット
mind box
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家に帰ると、
部屋が急に空虚感を放していた。

単純に、荷物が少し、ところどころ無くなっていた。
…あぁ、なるほどね…。
私はすぐに、事の成り行きを把握し、何分間か、何十分か、ぼんやりと部屋のど真ん中でつっ立っていた。

本棚がない。

でかい本棚があった場所には、私の本だけ床に無造作に置いてあった。

なるほど。
いなくなったんだ。
出て行ったんだ。
私から離れていったんだ…。

同棲していた恋人が、自分の荷物とでかい本棚を持って部屋を出て行った。

小説とか映画とかではありそうだけど、本当にあるもんだなぁ、なんて、ぼんやり考えていた。

簡単に第三者的な感想しか出てこない。
自分で自分の思考回路を塞いでいた。

わかっていた。
考え出すと、止まらなくなって、猛スピードで私全体、全身に「かなしみ」が充満することを。
そうすると、どうしてよいか、わからなくなることを。めんどくさくなることを。
ただ、わかっていた。

だから、あまり深く考えないように、ぼんやりしていた。

とりあえず床に座って、煙草を吸った。

1ミリしかない、ピンクの煙草。

明日バイトは14時からだなとか。メンバーは誰だったかなとか。土曜日だから忙しいなとか。

気付いたら、煙草は四本目に入っていた。

そう思った瞬間、
涙が出てきた。

よく、我慢したと思う。
涙は、初めはゆっくりと、心がキュウっとなった時から激しく、私の白い頬の上を流れた。

どうして。
何で。
急すぎじゃない。
昨日まで普通だったのに。
どうして。
何度も同じ言葉たちが私の心の中を行き来する。

携帯を鳴らしても、メールを送っても、優しい内容でメールを送っても、返事は来なく、連絡はなかった。


本棚があった場所を見る。
確かに、家具の中で2人のモノは本棚だけだった。
でも、2人で一緒に買ったはずだけど。
なんで、また、本棚なんだ?少し腹が立ったけど、すぐに消えた。

また、「かなしみ」が私を満たす。

何回も何回も電話した。途中で繋がらなくなった。

ひとりぼっち。
また、ひとりぼっちだ。

そう思うと、また激しく涙は私の白い頬の上を流れた。
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